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今日ご紹介するセリさんは、余命宣告を受けたお父様との関係から、精子提供を希望されました。
おかげさまで、父が亡くなる前に孫を見せてあげることができました。本当にありがとうございました。お礼の気持ちを十二分に合わせることが見つかりませんが、少しでもご理解いただければと思います。
約1年半前に、父がガンでの余命宣告を受けました。父は気丈に振る舞い、私たち家族には必要以上に落ち込む姿を見せまいと、治療を続けながら仕事の引継ぎなどのために出社していました。
しかし、体調が悪くなるに従い、笑顔も元気もなくなっていきました。ある日、病室に行くとぎりぎり聞き取れるぐらいのかすれた声で、母と話をしているのが聞こえてきました。
「・・・の子供がみた・・た。」
「・・・わせになてほしい。」
後から母に問い詰めると、話しにくそうに教えてくれました。
父は私の子供、孫をどうしても見たかったといっていたそうです。独身でキャリアを積み上げていく私にいつも「それでいい、自分のやりたいことをやれ。結婚が幸せとは限らない、したくなったしろ。子供がほしくなったら、そのとき考えろ。」と言ってくれていたので、驚きました。
内心では、孫を抱きたいと思いつつ、自分の価値観を押し付けまいと、一人っ子の私を応援してくれていたのだと知り泣き崩れました。
だからと言って、私にはどうもすることはできません。それは、母もよくわかっていました。
独身で彼氏もいない私には、父に孫を見せてあげることなど、到底無理なことでした。
ただ、父の話を聞いてから、結婚はいやだけど、子供はほしいという自分の気持ちに気づき戸惑いました。あるとき、ニュースで精子提供のことを知り、どうせなら父の存命中に産みたいと考えるようになりました。
そこからは、急転直下。父の看病もしながら、精子ドナーを探し、父に面影が似ているジャパン・ベイビーのマサさんに決めました。
何度か精子を提供していただき妊娠が分かった時は、それまでの人生でもっとも幸せな瞬間だったといえます。
父の看病と私の出産が重なり、母には苦労をかけましたが、病室で撮った4人の写真は大切な宝物です。
独身の私に子供を授かるチャンスを頂きありがとうございました。立派な人間に育てます。お体に気を付けてこれからもご活躍ください。
以上がセリさんの体験談です。精子提供に関するご不明な点は、遠慮なくご質問ください。