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事故で恋人をなくされてから精子提供を受けられたユリアさんの体験談です。
あの日の記憶がない
私には、大学から付き合っている恋人がいました。
彼は大手の企業に就職し、互いの家族に紹介したこともあって、結婚を強く意識するようになりました。
ある土曜日、見慣れない番号から電話がかかってきました。話している人は、とても早口で何をいっているのかわかりません。
ただなぜか彼のことを知っていて、急いでいるようでした。
「・・・〇〇病院に今来ていただけますか?」
そういうといつの間に電話は切れていました。病院にいかなければという気持ちと、なぜ病院にいくんだっけ、という疑問で混乱しながら準備をすませバスにのったことを覚えています。
病院には、彼のご両親がいました。
すごく嫌な感じがして、何も聞きたくはなかったのですが、同僚とのドライブに出かけた彼が事故に巻き込まれたといわれました。
これ以降の記憶は曖昧です。
自分の人生とは
はっきりとした記憶があるのは、彼のお母さんから、「もうそろそろ、あなたの人生を生きてね。」と言われた瞬間からです。
彼の事故から3年が経っていました。
自分の人生といわれても、彼が私の人生そのもの。
大学の友人たちはどんどん結婚し、子供を育てていました。焦りとか、悲しみといった感情はありません。
ただ、もし彼がいたら、と思うことはよくあります。彼がいたらどんな生活を二人で過ごせたのかと。
30代になり、彼のご家族とお会いすることも少なくなりました。
子供をもつ選択肢
彼以外の男性とおつきあいして、結婚できるかと自問しては、無理だなと考えるばかり。でも、一人でこのまま過ごすことも想像できません。
養子縁組や里親について調べていると、独身の私には難しいことが分かり諦めました。
ニュースで第三者から精子提供を受けることができると知り、何人かの精子ドナーの方をお会いしました。
その中から、彼の面影に似ているジャパン・ベイビーのまささんに提供をお願いしました。
彼以外と結婚することはないと確信していたため、特に迷いもありませんでした。
こんな選択肢があって私はラッキーだったと思います。先日、無事に出産して今は落ち着いています。
まささんとお会いしてから、ずっと不思議な感じがします。もう二度と自分の人生が前に進むことはないと悟ったはずなのですが、彼のことを受け入れながら、やっと前向きになれました。
こういったご活動は批判も多いと想像しますが、少なくとも私は心から感謝しています。どうかお体に気を付けて女性が子供をもつ選択肢を広げてください。
いろんな人生があります。納得いくまで考え抜いて出した答えなら、多かれ少なかれ、未来は動き出します。
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