精子提供により妊娠・出産を望む上で、大切なポイントがいくつか存在します。その一つが、精子ドナーの精子品質です。精子品質をどのように理解すればよいのか、ご説明します。
精子品質の見極め方と数値の意味
世界保健機関(WHO)が発表している、妊娠に必要な精液品質の基準値とともにお伝えします。
- 精液量
- ph値
- 精子濃度
- 精子運動率
- 精子正常形態率
- 精子生存率
精液量
そもそも精液、精巣(睾丸)や前立腺からの分泌液、が少なければ、精子の数も少なくなってしまいます。
また、精液が少ないことで、精子の生存時間が短くなることもあるため、妊娠にとって重要な意味を持ちます。
基準値は1.5ml以上です。
眼科で処方される目薬よりも少ない量です。
1.5mlでも自然妊娠は可能ですが、大いに越したことはありません。
ph値
次の値は、精液がどれだけアルカリ性という指標です。
女性の膣内は、細菌などから体を守るために酸性となっています。
その酸性下に精子が入ると簡単に死んでしまいます。
そこで、精液がアルカリ性であることで、膣内を一時的に中和し、精子が卵子と授精するまで生きやすくします。
基準値は7.2以上ですが、これは高すぎても男性の精巣が炎症を起こしている可能性があるため、8.0未満が理想的だと考えています。
精子濃度
1ml中に含まれる精子の数になります。
精液量が多少すくなくても、精子濃度が高ければ、精子の数自体は確保できます。
逆に、どんなに精液量が多くても、精子濃度が低ければ、精子の数が確保できなくなります。
基準値は1ml中に1,500万個以上です。
精子運動率
精液の中にいる精子のうち、元気に動いている精子の割合を精子運動率といいます。
上記の精子濃度が高くたくさんの精子が精液に含まれていても、力強く前進できる精子がいなければ、卵子に到達し授精することはありません。
そのため、WHOでは、自然妊娠に必要な元気な精子の割合を32%以上と定めています。
精子正常形態率
次に、正常な形をした精子がどれだけいるかという割合が精子正常形態率になります。
せっかく授精しても、異常な形態の精子がもととなっている受精卵は着床できないとも言われています。
30歳を超えると、正常な形をした精子の数が急減してしまう男性が増えるため、男性不妊の原因ともなっているのです。
基準値は、15%以上です。
精子生存率
精子の数は十分でも、実際にはすべての精子が生きているわけではありません。
そのため、どれぐらいの割合の精子が生きているかという基準が必要となります。
基準値は58%。自然妊娠には6割近くの精子が生きていることが必要です。
ただし、精子生存率が低いことと無精子症は別のものです。
無精子症は、そもそも精液の中に精子がいないことを意味します。
まとめ
実は、自然妊娠した男性の精液品質はわかっていません。なぜなら、自然妊娠にいたった男性は精液検査などを受けないからです。そのため、上記の基準値もWHOの研究にもとづく推測ということになります。ジャパン・ベイビーでは基準値の満足だけでなく、少しでも質の良い精子を提供できるよう食生活・運動に重点を置いた体調管理に努めています。