FTMでも子供がほしい!を叶えるAID以外にもある方法

FTMの方ご本人、またはFTMの方と結婚された奥様から、お子さんの持ち方についてご相談を頂きます。社会の空気が変わり、制度が変わり少しずつFTMの方の結婚が増えています。

一方、子供をもつことはまだ簡単ではありません。FTMの方が子供をもつ選択肢について、整理してみました。

子供を養子として迎える

すでに誕生している子供を家族として迎え入れることが選択肢の一つです。日本にはおよそ4万6千人の子供たちが両親の養護を受けることなく施設などで生活しています。

その子供たちを家族にする方法が養子縁組です。これは二つの種類があります。

普通養子縁組と特別養子縁組の違いは?

簡単に区別すると、

  • 普通養子縁組は跡継ぎのためなどに大人も対象、
  • 特別養子縁組は6歳までの子供を対象

としたものです。

子連れの女性と結婚する場合は、普通養子縁組が採用されることが多いです

 普通養子縁組特別養子縁組
目的「家」の跡継ぎを残す・存続子どもの福祉のためにできた養子縁組
養親の婚姻条件単身者・独身者も可婚姻している夫婦
養親の年齢条件成年(婚姻している未成年は可)夫婦ともに成年で一方が25歳以上
養子の年齢条件制限なし原則は、家庭裁判所に申し立てた時に6歳未満(条件により8歳未満)
実父母からの承認親権者の同意が必要。養子が15歳以上の場合は不要。実父母の同意が必要(非摘出の子で、父の認知が無い場合は父の同意は不要)
縁組の条件未成年者の場合は、家庭裁判所の許可が必要父母による養育ができず、子どもの監護が著しく困難または不適当な場合。
養育環境の試用期間特になし6か月以上

FTMの方を含むご夫婦が養親として認められています。

偏った見方かもしれませんが、最近多い虐待のニュースを見ていると、苦しい思いをして実親の下で育つぐらいなら、愛情を注いでくれる養親と家族になったほうがよほど幸せです。

子供を授かる方法

では次に、自身または女性パートナーが出産するケースをみていきましょう。

オペ前に自ら出産


FTMの方のお気持ちを無視するわけではないのですが、あくまでも可能性として記述させてください。

FTMの方が女性機能を停止する前に出産することが考えられます。

すでに、アメリカ、ドイツでは、トランスジェンダーの方が、温存していた子宮と卵巣、そしてドナーから提供された精子で妊娠・出産に至っています。

日本でも、自身の性について明確な認識を持つ前に、女性として結婚・出産した後に離婚、FTMとして生活している方もいらっしゃいます。

自分の意志で進められることに加え、生物学的にもつながりのある子供を授かることができることが利点です。

女性パートナーが出産

一方、結婚後に女性パートナーが出産されることで、子供をもつ選択肢があります。

日本国内でのAID

《女性パートナーの卵子+第三者の精子》


まずごくごく一般的な方法ですが、結婚されていれば、AID(非配偶者間人工受精)を受けることができます。

日本国内でAIDを実施している病院はこちらのリストをご覧ください。

病院によっては数年待ちであったり、AID自体の妊娠率が低いなどの課題があります。またこの方法では、女性パートナーと生物学的につながりはあるものの、ご自身とはつながりのないお子さんになります。

《女性パートナーの卵子+ご本人の親戚の精子》


生物学的なつながりを持ちたい場合は、ご自身の男性兄弟またはお父様などから精子提供を受けることが必須です。

ご兄弟からの提供は、後々、相続やご兄弟の婚姻にも影響が出る可能性があります。

例えば、未婚の兄弟から精子提供を受けて、ご自身の奥さんが出産した後に、兄弟が結婚しその奥さんが事実を知って離婚など。

そのため、できればお父様からの提供をお勧めします。お父様であれば、言葉は悪いですが、先に寿命を全うすることは確実です。

お子さんと過ごす時間が短い分、双方にとって問題をかかえるリスクが少なくなります。

また、誰の精子を用いたのかを伏せたい場合は、なおのこと信頼のおけるお父様が最適。

海外でのAID

ほぼ日本と同じ条件ですが、場所が海外のため、渡航費・入院費・通訳費・手数料などの合計で1回あたりおよそ200万円かかります。

お金に余裕があり、かつ第三者の精子希望で、早く妊娠・出産を目指される場合は一考かもしれません。

タイでの精子提供をサービス化されているのはこちらのサイトです。

凍結保存した自身の卵子を利用

最後に、オペの前に卵子を採取しておき、子供を持ちたいときに用いる方法です。

卵子の冷凍保存には、採取を含めておよそ100万円かかります。

オペの予定がすでに決まっているが、将来のことを想定しておきたいという場合に有効です。

《自身の卵子+第三者の精子》


その卵子を使って、奥様に産んでもらうことになります。

もちろん、精子が必要になるため第三者からの提供が必須。ここで、難しいのが上記のAIDを使えるか、という点です。

冷凍保存された卵子を用いることは仮に問題なかったとして、それが奥様のものではないため、病院によっては断られる可能性があることをご承知おきください。

《自身の卵子+女性パートナー親戚の精子》


このパターンは過去にほとんどありません。すでに書いた【女性パートナーの卵子+自身の親戚の精子】の逆パターンです。

ご自身(FTM)の男性家族から精子提供を受けられないものの、自分と女性パートナー双方の遺伝子をもった子供がほしい場合に有効な選択となります。

物理的には可能ですが、女性パートナーの心理面が大きく影響されそうです。つまり、自分の父や兄弟の精子により妊娠することに対する考え方をどのように整理するかという点です。

戸籍はどうなるの?

以前は、奥様が出産してもFTMの方が旦那様だと非嫡出子扱いとなるため、わざわざ特別養子縁組をするよう指導がありました。

現在では、判例にもとづき多くのケースで嫡出子として認められています。先達による努力の賜物ですね。

具体的には、2014年の法務省通達によります。

まとめ

  1. 養子縁組
  2. 自身で出産
  3. 女性パートナーが出産

以上が今回整理したFTMの方が子供をもつ方法です。ポイントのひとつは、生物学的なつながりをどこまで求めるかになります。自信の卵子を用いる場合と、自身の親戚から精子提供を受ける場合は、つながります。先の人生まで見通すことは簡単ではないため、子供をもちたいと思ったときに、可能性のある選択肢を識別し、最適なものを選ぶことが重要です。


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